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【粒子の分散方法】性能を引き出す分散液の作り方|基礎から徹底解説

「粒子が凝集・沈降する」「分散が不十分で性能が出ない」という悩みはありませんか。

本記事を読めば、分散の基礎から、分散剤・分散機の選び方まで分かり、分散に関する多くの悩みを解決できます。

対応できる粒子径も幅広く、塊~ナノ粒子まで分散できるようになります。

また、この記事は本ブログのカテゴリ「分散化学」の内容をまとめた記事であり、網羅的な知識が身に付きます。

まずは「分散の基礎」から解説していきます。

具体的な悩みの解決策を早く知りたい方は、目次から該当箇所に飛んでみてください。

目次

分散の基礎

「分散の基礎」を理解することで、論理的に実験できるようになります。

重要なのは、分散の過程を知り、粒子や分散系に合った分散機構を採用することです。

分散の3過程

粒子は多くの場合、凝集体(2次粒子)として存在しています。

この凝集体を、目的の粒子径(例えば1次粒子径)まで解砕し安定化させることを「分散」と言います。

粒子分散の過程(濡れ→機械的解砕→分散安定化)

「①濡れ」と「③安定化」に効果的なのが「分散剤」であり、「②解砕」に効果的なのが「分散機」です。

分散の3過程と各過程における凝集対策については、こちらの記事で詳しく解説しています▼

この記事では、簡単に各過程の解説をし、全体像を掴んでいただきます。

1.濡れ

粒子が濡れる様子

濡れとは「粒子表面の空気を溶剤で置換する工程」です。

有機溶剤系は粒子が濡れやすいため「濡れ対策」は必要ない場合が多く、水系は濡れにくいため「濡れ対策」が必要になることが多いです。

濡れ対策としては「分散剤の添加」が挙げられます。※分散剤の選び方は下で解説します

2.解砕

粒子の凝集体が解砕する様子

解砕とは「凝集体(2次粒子)に力を加え、凝集体を小さくしていく工程」です。

粒子を解砕するために、様々な分散機が使われており、この過程では分散機選びが重要になります。

分散機の種類や選び方については、下で解説します。

3.安定化

粒子の凝集体が解砕し安定化する様子

安定化とは「解砕した粒子が再凝集しないようにする工程」です。
※「分散安定化」と呼ばれることも多いです

安定化していないと、解砕した直後から再凝集するため、解砕だけでは図の一番右の分散状態にはなりません。

そのため、実際の系では、解砕と安定化は同時に進めていきます。

安定化の方法としては「分散剤の添加」が挙げられます。※分散剤の選び方は下で解説します

「分散剤の添加」が、なぜ安定化に繋がるのかは、次の「分散安定化のメカニズム」で説明します。

分散安定化のメカニズム

前提知識として「分散安定化のメカニズム」を理解しておくと、分散方法や分散剤選びが楽になります。

分散安定化のメカニズムを大別すると、「静電反発」と「立体障害」に分けられます。

「静電反発」による分散とは

多くの場合、液中で粒子は下図のように帯電しています。(符号は逆の場合もあり)

静電反発機構(液中の粒子のゼータ電位)

粒子には、粒子表面の電荷と反対符号の電荷が集まっており、これを電気二重層と呼びます。

2つの粒子を見たとき、電気二重層の電荷が同じ符号(+と+またはーとー)の場合、反発するというのが静電反発です。

このように電気二重層の静電的な反発力で、粒子の凝集を防ぐのが「静電反発」による分散です。

また、粒子と一緒に移動する電荷の境界部分をすべり面と言い、すべり面の電位は「ゼータ電位」と呼ばれます。

このゼータ電位は測定することができ、非常に重要な指標になります。

基本的に「ゼータ電位」と「分散安定性」には、下記の関係があります

  • ゼータ電位の絶対値が大きければ、静電的な反発力が強く、分散安定性は高い
  • 逆に、ゼータ電位がゼロに近くなると、静電的な反発力が弱く、分散安定性は低い

よって、ゼータ電位は「粒子の分散安定性と相関の高い指標」として使えます。

「分散剤の添加」は、電気二重層やゼータ電位を変化させ、分散安定化に繋がる場合があります。

「立体障害」による分散とは

高分子タイプの分散剤を粒子に吸着させ、下図のように高分子鎖同士の立体障害効果により、粒子の凝集を防ぐのが「立体障害」による分散です。

立体障害機構(分散樹脂の吸着)

実際は、高分子鎖同士が重なった時、浸透圧によって周りから溶剤が流入して反発するという分散機構が多いようですが1)3)、本記事ではこの機構も含めて一般的に良く言われる「立体障害」という言葉を使っています。

立体障害による分散では、分散剤が粒子に十分に吸着し、溶剤中に良く広がっていることが重要です。

「静電反発」や「立体障害」で分散する具体的な方法については、こちらの記事で解説しているので是非どうぞ▼

分散剤を使わずに分散する方法についても解説しています。

沈降のメカニズムと沈降対策

前提知識として「沈降のメカニズム」を理解しておくと、分散方法や分散剤選びが楽になります。

実際のところ、「沈降のメカニズム」を知らないがために、無駄な検討をしている方は多いように感じます。

例えば、粒子径の大きな粒子は、粒子同士の凝集を防いでも理論的に必ず沈降する場合があります。

この場合、粒子の凝集を防ぐ方法とは別のアプローチが必要です。

沈降のメカニズム

流体中では、流体の分子が常に熱運動しており、流体の分子と粒子が衝突することで、粒子は不規則に運動します。

この「粒子が不規則に運動する」現象を、「ブラウン運動」と呼びます。

液中の粒子は、下図のように、①重力による沈降方向の動きと、②ブラウン運動による不規則な動きをします。

「沈降による移動距離」>「ブラウン運動による移動距離」の時、粒子は沈降し、

「沈降による移動距離」<「ブラウン運動による移動距離」の時、粒子は沈降しません。

1秒あたりの粒子の移動距離には、下記式の関係があります。

1秒あたりの粒子の移動距離[m]を、沈降とブラウン運動で簡単に比較

沈降にもブラウン運動にも関与する要素は、「a :粒子の半径」と「η:粘度」です。

例えば、粒子径や粘度が2倍になると、1秒あたりの沈降距離とブラウン運動による移動距離は下記のようになります。

変更項目沈降距離ブラウン運動による移動距離
粒子径2倍4倍0.7倍
粘度2倍0.5倍0.7倍

粒子径が大きくなると沈降しやすいことが分かります。

粘度が上がると、沈降もブラウン運動も抑えられますが、沈降の方がより抑えられるためブラウン運動が優位になり沈降しにくくなります。

代表的な沈降対策については次で説明します。

沈降対策

代表的な沈降対策は2つあります。

  1. 粒子の凝集を防ぐ
  2. 液の粘度を高くする

粒子径別に有効な沈降対策を考えた場合、目安は下記になります。

0.1μm以下(ナノオーダー・コロイド領域):1が有効。

0.1~1μm(サブミクロンオーダー):1と2が有効。

1μm以上(ミクロンオーダー):2が有効。1も必要だが比較的容易。

粒子が凝集すると、大きな粒子として振舞うため、沈降し易くなります。

そのため、小さな粒子(特にナノ粒子)は凝集を防ぐ必要があります。

一方、元々大きな粒子は、凝集を防ぐよりも粘度を上げてブラウン運動を優位にさせる必要があります。

凝集を防ぐ方法としては「分散剤の添加」が挙げられます。

粘度を上げる方法としては「分散剤の一種である増粘剤の添加」が挙げられます。

「その他の沈降対策」や「沈降メカニズムの詳しい解説」については、こちらの記事で解説しているので是非どうぞ▼

分散剤の選び方

一口に「分散剤」と言っても、様々な種類があり、それぞれ特徴や最適な用途が違います。

まずは分散剤の種類を紹介し、その後、選び方や分散剤メーカーについて説明します。

分散剤の種類

「広い意味での分散剤」を大別すると下記の4種類になります。

分散剤の種類(界面活性剤、高分子分散剤、増粘剤、シナジスト)

分散剤には「分散の3過程」で説明した「濡れ」を促進する効果と、「分散安定化」の効果があります。

分散剤の種類別に、主な分散原理をまとめると下記です。

主な分散原理

界面活性剤:「濡れ促進」「静電反発」

高分子分散剤:「立体障害」「静電反発」(濡れ促進)

増粘剤:「沈降抑制」

シナジスト:高分子分散剤を補助する効果 、(濡れ促進)

1.界面活性剤

「湿潤剤」「乳化剤」「低分子分散剤」と呼ばれることもあります。

「界面活性剤」は、例えば下図のように、分子中に親水基と疎水基(親油基)を持ちます。

界面活性剤のイメージ図

親水基は高極性の物質と仲が良く、疎水基は低極性の物質と仲が良いという特徴があります。

高極性と低極性の物質としては、例えば下記が挙げられます。

高極性の物質:水、高極性溶剤(低級アルコールなど)、無機酸化物など

低極性の物質:低極性溶剤(油・トルエンなど)、有機顔料、カーボンなど

「界面活性剤」は、高極性の物質と低極性の物質の界面に作用して、粒子の「濡れ促進」と「静電反発による分散安定化」に効果があります。

2.高分子分散剤

「樹脂型分散剤」や「分散樹脂」と呼ばれることもあります。

「高分子分散剤」は、分子中に吸着部(アンカー)と溶媒和部を持ちます。

「高分子分散剤」には様々なタイプがありますが、例えば下記が挙げられます。

高分子分散剤の構造(直鎖、ランダム、くし型)

適切な「高分子分散剤」を選定できれば、吸着部が粒子に吸着すると共に溶剤和部が溶剤中に広がり、「立体障害による分散安定化」を狙えます。

また、「高分子分散剤」によっては「静電反発による分散安定化」を狙えるものもあります。

3.増粘剤

「レオロジーコントロール剤」や「チクソトロピック剤」と呼ばれることもあります。

増粘剤は液中で軽く引かれ合い、下図のような3次元網目構造を形成し、液の粘度が上がります。

増粘剤の3次元網目構造

増粘剤は、高分子のものと、低分子(粒子状)のものがあります。

増粘剤の効果として正しいのは下記です。

  • 粒子に吸着し、静電反発や立体障害により分散安定化する
  • 粘度を上げることで、粒子の沈降速度を遅くし、分散安定化に繋がる

ただし、増粘剤の中には、増粘効果だけでなく、粒子に吸着するものもあり「高分子分散剤」としても分類できるものもあります。

4.シナジスト

「シナジスト」は「誘導体」「色素誘導体」「顔料誘導体」とも呼ばれ、「広い意味での分散剤」の中ではマイナーです。

下図のように、高分子分散剤が粒子に吸着するのを補助する効果があります。

シナジストの効果:高分子分散剤が粒子に吸着するのを補助する

シナジストによっては、粒子表面に電荷を付与し、静電反発による分散安定化を狙えるものもあります。

分散剤の選び方

ご自身の使用している「溶剤」と分散したい「粒子」に着目すると、最適な分散剤を見つけやすいです。

分散剤を「溶剤」と「粒子」別に分類すると、ほとんどが下記4種類の用途に分けられます。

  1. 「水系×低極性粒子」用分散剤
  2. 「水系×高極性粒子」用分散剤
  3. 「溶剤系×低極性粒子」用分散剤
  4. 「溶剤系×高極性粒子」用分散剤

低極性粒子の例としては、カーボンや有機顔料が挙げられます。

高極性粒子の例としては、無機酸化物(セラミックス)や金属が挙げられます。

ざっくりのイメージとしては、炭素だけで構成されている部分が多い程、低極性です。

高極性溶剤(低級アルコールなど)をご使用の場合は、水系・溶剤系どちらのアプローチも有効な場合があります。

極性の大きさについては、SP値やHSP値で比較できます。

「溶剤種」と「粒子種」に加え、「粒子径」にも注目すると、最適な分散剤をより見つけやすくなります。

下記表は「溶剤種」「粒子種」「粒子径」毎に、最適な分散剤の種類をまとめたものです。

スクロールできます
「溶剤種」
「粒子種」
一次粒子径
0.1µm以下
一次粒子径
0.1~0.5µm
一次粒子径
0.5~1µm
一次粒子径
1µm以上
水系
×
低極性粒子
界面活性剤
高分子分散剤
(+シナジスト)
高分子分散剤
(+界面活性剤)
(+シナジスト)
高分子分散剤
増粘剤
(+界面活性剤)
(+シナジスト)
増粘剤
(+高分子分散剤)
水系
×
高極性粒子
界面活性剤
高分子分散剤
高分子分散剤
(+増粘剤)
高分子分散剤
増粘剤
増粘剤
(+高分子分散剤)
溶剤系
×
低極性粒子
高分子分散剤
(+シナジスト)
高分子分散剤
(+シナジスト)
高分子分散剤
増粘剤
(+シナジスト)
増粘剤
(+高分子分散剤)
溶剤系
×
高極性粒子
高分子分散剤高分子分散剤
(+増粘剤)
高分子分散剤
増粘剤
増粘剤
(+高分子分散剤)
表1_分散剤選定表

上記表の元となる考え方や詳細については、こちらの記事で解説しているので是非どうぞ▼

分散剤の紹介

分散系によって、分散剤の「種類」はある程度最適解がありますが、分散剤の「具体的な製品名・番手」となると、最適解を見つけるのは困難です。

本ブログでは、初期検討を行いやすいように、「溶剤種」「粒子種」「粒子径」毎に、いくつか例を挙げます。

スクロールできます
「溶剤種」
「粒子種」
一次粒子径
0.1µm以下
一次粒子径
0.1~0.5µm
一次粒子径
0.5~1µm
一次粒子径
1µm以上
水系
×
低極性粒子
PVP
水系高分子分散剤
PVP
水系高分子分散剤
PVP
CMC
水系高分子分散剤

CMC
(+水系高分子分散剤)
水系
×
高極性粒子
PVP
水系高分子分散剤
PVP
水系高分子分散剤
PVP
CMC
水系高分子分散剤
CMC
(+水系高分子分散剤)
溶剤系
×
低極性粒子
溶剤系高分子分散剤
溶剤系高分子分散剤
溶剤系高分子分散剤
フュームドシリカ
フュームドシリカ
(+溶剤系高分子分散剤)
溶剤系
×
高極性粒子
溶剤系高分子分散剤溶剤系高分子分散剤
溶剤系高分子分散剤
フュームドシリカ
フュームドシリカ
(+溶剤系高分子分散剤)

界面活性剤は、選定と分散安定化が難しいため、初期検討の例からは除外しました。

1.PVP(ポリビニルピロリドン)

PVPは、代表的な水系分散剤で、多くの粒子の分散に効果的です。

試薬でも手に入りますし、製造メーカーとしては「BASF」「日本触媒」「第一工業製薬」が挙げられます。

2.CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)

CMCは、代表的な水系増粘剤で、大きな粒子の沈降防止に効果的です。

試薬でも手に入りますし、製造メーカーとしては「日本製紙」「第一工業製薬」が挙げられます。

3.フュームドシリカ

フュームドシリカは、燃焼法によって作製された微細なシリカであり、増粘効果があります。

製造メーカーは、シリカメーカー各社がありますが、「日本アエロジル」が種類が豊富でカタログも見やすいです。

水系にも効果的ですので、CMCを使いたくない場合はお試しください。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

4.水系高分子分散剤

分散剤を選定しやすい分散剤メーカーとしては「ビックケミー ジャパン」「日油」が挙げられます。

詳細は次の「分散剤メーカーの紹介」をご覧ください。

5.溶剤系高分子分散剤

分散剤を選定しやすい分散剤メーカーとしては「ビックケミー ジャパン」「日油」「味の素ファインテクノ」が挙げられます。

詳細は次の「分散剤メーカーの紹介」をご覧ください。

分散剤メーカーの紹介

1.ビックケミー ジャパン

添加剤が得意な化学メーカーです。本社はドイツ。

界面
活性剤
高分子
分散剤
増粘剤シナジスト

分散剤のURL:https://www.byk.com/ja/company-news/media/news/detail/japanese-news-20200207-product-list-update-coatings-inkjet-inks

商社・代理店URL:https://www.tetsutani.co.jp/tenkazai.html

適用可能な溶剤・粒子・バインダー樹脂について書いてあり選定しやすいです。

水系も溶剤系も種類が豊富で、増粘剤やシナジストも扱っています。

ちなみに「層状無機添加剤」は増粘剤に分類されます。

分散剤の例としては、「DISPERBYK」「BYK」「LAPONITE」「GARAMITE」シリーズが挙げられます。

2.日油

添加剤にも強い化学メーカーです。

界面
活性剤
高分子
分散剤
増粘剤シナジスト

分散剤のURL:http://www.nof.co.jp/additives/dispersant/index.html

粒子種・粒子径・溶剤種別に分類されており、非常に選定しやすいです。

分かりやすい技術資料もあり、各国の化学物質登録状況も載っています。

分散剤の例としては、「エスリーム」「マリアリム」シリーズが挙げられます。

3.味の素ファインテクノ

味の素グループの化学メーカーです。

界面
活性剤
高分子
分散剤
増粘剤シナジスト

分散剤のURL:https://www.aft-website.com/chemistry/ajisper

適用可能な粒子・溶剤・バインダー樹脂について書いてあり選定しやすいです。

分散剤の例としては、「アジスパー」シリーズが挙げられます。

4.日本アエロジル

エボニック傘下のフュームドシリカのメーカーです。本社はドイツ。

界面
活性剤
高分子
分散剤
増粘剤シナジスト

分散剤のURL:https://www.aerosil.jp/ja/product

分かりやすく選定もしやすいカタログがあります。

フュームドシリカには増粘効果があり、食品や化粧品に使えるものもあります。

分散剤の例としては、社名でもある「AEROSIL」シリーズが挙げられます。

5.日本製紙

大手製紙会社であり、セルロース系の分散剤が豊富です。

界面
活性剤
高分子
分散剤
増粘剤シナジスト

分散剤のURL:https://www.nipponpapergroup.com/products/chemical/

食品や化粧品にも使えるCMCは、資料が豊富で比較的選定しやすいです。

分散剤の例としては、「サンローズ」「サンエキス」シリーズが挙げられます。

6.第一工業製薬

製薬会社かと思いきや、添加剤に強い化学メーカーです。

界面
活性剤
高分子
分散剤
増粘剤シナジスト

分散剤のURL:https://www.dks-web.co.jp/product/catalog/index.html

分散関連の詳しいカタログは、お問い合わせフォームから請求しないと見られません。

先に挙げたPVPやCMCも扱っています。

分散剤の例としては、「セロゲン」「ピッツコール」「ハイテノール」「ピッツコール」シリーズなどが挙げられます。

その他の分散剤メーカーについてはこちらの記事で解説しているので是非どうぞ▼

分散機の選び方

粒子の分散、特に分散の3過程で説明した「解砕」には、分散機の選定が重要になります。

まずは分散機の種類と原理を紹介し、その後、選び方や分散機メーカーについて説明します。

分散機の種類

分散機の分散原理(解砕原理)は、「せん断」「衝撃」「キャビテーション」の3つがあります。

実際は、複数の分散原理を組み合わせた分散機があったり、分類が難しいものもあります。

当ブログでは、分かりやすくするために、下記の3つに分類しています。

1.せん断

「せん断」による分散は、下図のように「面と面をずらす」ことで、粒子を解砕します。

せん断系分散の原理

ここで言う「面」は様々な種類があり、下で解説する分散機によって異なります。

せん断時にかかる力は、「せん断応力」や「ずり応力」と呼ばれ、下記の特徴があります。

せん断応力の特徴

・粘度が高い程、力が強い

・2面間の相対速度が大きい程、力が強い

・2面間の距離が短い程、力が強い

・2面間の接触面積が大きい程、力が強い

せん断系の分散機には、例えば下記があります。

せん断系の分散機一覧

2.衝撃

「衝撃」による分散は、下図のように「何かが衝突する」ことによって、粒子を解砕します。

衝突系分散の原理

何が、何に衝突するのかは、下で解説する分散機によって異なります。

衝突時にかかる力は、「衝撃力」と呼ばれ、下記の特徴があります。

衝撃力の特徴

・衝突速度が速い程、力が強い

・衝突物の質量が大きい程、力が強い

衝撃系の分散機には、例えば下記があります。

衝撃系の分散機一覧(メディアミル、ジェットミル)

3.キャビテーション

「キャビテーション」による分散は、下記のメカニズムで作用し、分散機としては超音波ホモジナイザーが挙げられます。

超音波を液中に照射すると、液中に「高速な流れ」が発生。高速に流れる液中の、局所的に圧力の低い部分が気化し、気泡が発生する現象をキャビテーションと呼びます。キャビテーションによる気泡は、「発生・圧縮・圧壊」を繰り返し、これにより高温・高圧の反応場が液中に形成されます(図3)。

株式会社エスエムテー「超音波分散機器について」
超音波分散機器のメカニズム
画像引用:株式会社エスエムテー「図3:超音波分散機器のメカニズム」

また、一部の高圧ホモジナイザーは、「キャビテーション」も発生します。

分散機の選び方

下記理由から、分散機は「目標粒子径」と「粘度」で選ぶことをお勧めします。

  • 分散系の粘度によって、使える分散機が限られる
  • 分散機によって、到達できる粒子径が異なる

目標粒子径は、分散の目的によって大きく異なり、必ずしも1次粒子径とは一致しません。

一次粒子径より大きいこともあれば、粉砕により1次粒子径より小さいこともあります。

「目標粒子径」と「粘度」に適した分散機をグラフで表すと下記になります。

実際は、分散機の機種や条件によって性能が大きく異なるため、グラフから外れる場合もあります。

下記は当ブログの考えであり、分かりやすくするための、ざっくりとした分類とお考え下さい。

分散機の選定方法(目標粒子径と粘度で選ぶ方法)

液体の粘度の目安は下記です。

一般的な液体の粘度の目安
画像引用:キーエンス「液体の粘度と目安」

次の項で、代表的な分散機について、詳細をご説明します。

分散機の紹介

ディゾルバー(ディスパー)

「ディゾルバー」は、「ディスパー」「ホモディスパー」「高速せん断撹拌機」「ハイスピードディスパーサー」と呼ばれることもあります。

せん断のかかる羽を、高速で回転させ分散します。

スターラーやプロペラミキサーよりも、分散力が強く、ラボでも簡単に試せます。

ラボ機の一例は下記です。

量産機は、ラボ機をそのまま大きくした様な物もありますし、タンクと一体型の物もあります。

良く勘違いされますが、せん断応力と相関が高いのは「回転数」ではなく「周速」です。

同じ回転数であれば、羽が大きい程、周速が速くなりせん断応力が大きくなります。

プラネタリーミキサー

「プラネタリーミキサー」は、「自転公転ミキサー」「遊星式攪拌機」と呼ばれることもあります。

2本のブレードが自転しながら公転することで、せん断により分散します。

卓上サイズのプラネタリーミキサーもあり、ラボ機として使えます。

また、下記のような「自転公転ミキサー」もラボ機の一例として挙げられます。

ブレードはありませんがプラネタリーミキサーと相関があると言われています。

引用:THINKY MIXER 公式あわとり練太郎

練太郎はラボでも非常に簡単に試せます。

標準的なあわとり練太郎もおすすめです。

3本ロール

下記のように、ロールを回転させ、せん断で分散します。

ロールミル構造図
画像引用:アイメックス株式会社「3本ロールミルの原理と構造」

ラボ機は例えばこちらが挙げられます。卓上のものはなく、それなりのサイズです。

コロイドミル、ホモミキサー、ハイシアミキサー

下記のようにロータ―とステーター(外筒)があり、ロータ―を高速で回転させ、せん断により分散します。

引用:IWAKI PUMPS「イワキ WCM コロイドミル」

また、コロイドミルとは異なる構造で、ロータ―とステーター間のせん断で分散する機器に、ホモミキサーやハイシアミキサーがあります。

例えば、下記のような卓上サイズのラボ機があります。

引用:シルバーソン ニッポン「試験室用ミキサー」

メディアミル(ビーズミル、アトライター、ボールミルなど)

ボールやビーズのようなメディア(球)を衝突させ、衝撃で分散させます。

メディアの小さい順に、ビーズミル(サンドミル含む)< アトライター < ボールミルと呼ばれ、分散機の構造や衝突メカニズムも異なります。

メディアの大きさに関する特徴は下記です。

メディアの大きさに関する特徴

・メディアが大きい程、
 衝撃力が大きいため、大きく硬い凝集体の解砕や粉砕に向いている

・メディアが小さい程、
 衝突頻度が多く、小さい凝集体の解砕に向いている

卓上サイズのメディアミルもあり、ラボ機として使えます。

また、下記のような「シェーカー」を使って、メディアを入れた瓶を振ることで、簡易的なラボ機として使えます。

画像引用:株式会社セイワ技研「ロッキングシェーカー」

ジェットミル、高圧ホモジナイザー

ジェットミルは、下記3つの方式に分類されます。

  • 液ー液 衝突方式
  • 液―衝突板 方式
  • 高圧ホモジナイザー

衝突方式の物は主に「衝撃」系の分散機で、高圧ホモジナイザーは主に「せん断」系で「衝撃」「キャビテーション」が機種により関係する分散機です。

高圧ホモジナイザーと聞くと、超音波ホモジナイザーをイメージする方もいらっしゃいますが、全く違います。

ジェットミルは、乾式の機器もありますし、高圧ホモジナイザーのことを指す場合もあるため、ややこしいかもしれません。

どの方式でも高圧が必要なため、広い意味では「ジェットミル」と言えます。

こちらのように、卓上サイズのラボ機もあります。

まとめ

粒子は多くの場合、凝集体(2次粒子)として存在しています。

この凝集体を、目的の粒子径(例えば1次粒子径)まで解砕し安定化させることを「分散」と言います。

「分散」の過程を3つに分けると下記になります。

粒子分散の過程(濡れ→機械的解砕→分散安定化)

「①濡れ」と「③安定化」に効果的なのが「分散剤」であり、「②解砕」に効果的なのが「分散機」です。

分散剤について、「溶剤種」「粒子種」「粒子径」毎に、初期検討の例を挙げるなら下記です。

スクロールできます
「溶剤種」
「粒子種」
一次粒子径
0.1µm以下
一次粒子径
0.1~0.5µm
一次粒子径
0.5~1µm
一次粒子径
1µm以上
水系
×
低極性粒子
PVP
水系高分子分散剤
PVP
水系高分子分散剤
PVP
CMC
水系高分子分散剤

CMC
(+水系高分子分散剤)
水系
×
高極性粒子
PVP
水系高分子分散剤
PVP
水系高分子分散剤
PVP
CMC
水系高分子分散剤
CMC
(+水系高分子分散剤)
溶剤系
×
低極性粒子
溶剤系高分子分散剤
溶剤系高分子分散剤
溶剤系高分子分散剤
フュームドシリカ
フュームドシリカ
(+溶剤系高分子分散剤)
溶剤系
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高極性粒子
溶剤系高分子分散剤溶剤系高分子分散剤
溶剤系高分子分散剤
フュームドシリカ
フュームドシリカ
(+溶剤系高分子分散剤)

具体的な「分散剤メーカー」についてはで紹介しました。

分散機について、「目標粒子径」と「粘度」毎に、適した分散機を示すなら下記です。

分散機の選定方法(目標粒子径と粘度で選ぶ方法)

具体的な「分散機メーカーやラボ機」についてはで紹介しました。

ご自身の分散系に合った「分散剤」と「分散機」を選べば、凝集や沈降を防ぎ、性能を引き出す分散液を作製できるようになります。

分散度の評価方法についてはこちらの記事で解説しているので是非どうぞ▼

参考文献

分散について学ぶのに役立つおすすめ本は、こちらの記事で紹介しているので是非どうぞ▼

1)小林敏勝「きちんと知りたい粒子分散液の作り方・使い方」、日刊工業新聞社(2016)

2)中道敏彦「図解入門よくわかる顔料分散」、日刊工業新聞社(2009)

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3)小林敏勝・福井寛「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」、日刊工業新聞社(2014)

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