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粒子分散・顔料分散に役立つ本の紹介~激選した4冊の解説~

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分散について学ぶのに役立つ本をまとめました。

理工系の方なら、何万円もする分厚い本を見たことがあると思いますが、あまり参考にならないと感じたことはありませんか?

私が紹介するのは、東京の超大型書店で、実際に数々の本を読み、激選した「役立つ4冊」です。

本単体の紹介だけでなく、本同士の関係性や、それぞれの本に適している人物像についても説明します。

この記事を読めば、自分に合った本を選び、実際に役に立つ知識を得られるようになります。

目次

分散基礎編①:「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」小林敏勝・福井寛

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粒子分散の基礎を網羅的に学べます。

次に紹介する「図解入門よくわかる顔料分散」と一緒に読むことで理解が深まります。

書籍としての特徴と概要は下記です。

  • 図・表・グラフが多く、分かりやすい
  • 「分散とは何か」という基礎の基礎から学べる
  • 分散の基礎知識を網羅的に学べる
分散の基礎

分散とは何かという話から始まり、分散過程や分散安定化機構などについて、詳細に学べます。

初心者必見の章です。

粒子の特徴を知る

粒子の性質について学べます。

粒子径と各種物性・光学特性との関係が分かります。

実務に役立つ分散技術

実際に分散する際に必要な知識が網羅的に身に付きます。この本で最もページ数の多い章です。

まず、分散液の性質、乾燥被膜の性質、分散度の評価方法について学べます。

次に、分散のポイントを溶剤系・水系で分けて学び、分散剤の種類・特徴・使い方について詳細に学べます。

最後に、分散機の種類やプロセスについて学び、分散の基礎知識が一通り身に付く内容になっています。

効果的な分散のための表面処理技術

表面処理の種類や特徴について学べます。

無機物や有機物による粒子の被覆や処理について、様々な方法が紹介されています。

粒子表面と粒子分散に必要な基礎知識

粒子表面の評価方法や溶解性パラメーターについて学べます。

粒子分散の基礎知識を学ぶのに最も適した本だと思います。

ただし、分散初学者には難しい部分もあります。

そう言った部分は読み飛ばしつつ、次に紹介する「図解入門よくわかる顔料分散」も一緒に読むことをお勧めします。

この2冊を読むことで、お互いの内容が補完し合って、得られる知識の幅が広がり、理解度もぐっと深まります。

分散初心者には、特に1・3章の熟読をお勧めします。

分散基礎編②:「図解入門よくわかる顔料分散」中道敏彦

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顔料分散の基礎を網羅的に学べます。

上で紹介した 「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」 と一緒に読むことで理解が深まります。

顔料とは、着色に使われる粉末の中で、溶剤に不溶の物を指します。

つまり、溶解液ではなく、分散液として使うため「分散」が重要な分野です。

顔料は、色物だけでなく、カーボンのような黒い粉末や、シリカのような白い粉末、金属粉なども含みますので、顔料分散は粒子分散の大部分を占めると言っても過言ではありません。

さらに、この本では顔料分散だけでなく、ポリマー粒子(エマルション等)についてや、全ての粒子で共通する分散の基礎を学べます。

書籍としての特徴と概要は下記です。

  • 図・表・グラフが多く、分かりやすい
  • 難しい数式や言い回しはほとんどなく、全体を通して読みやすく、理解しやすい
いろいろな顔料と用途

顔料の種類や特徴について学べます。

顔料分散の3つのステップ

分散の過程に沿って、分散のポイントや分散安定化機構などについて学べます。

「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」 の第1章と一緒に読むことで理解が深まります。(構成や内容は結構異なっていて、 上で紹介した「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」と一緒に読むことで、 お互いの内容が補完し合って理解が深まります)

分散機の使い方と分散度の評価

実際に分散する際に役立つ「分散機の使い方」や「分散度の評価方法」について学べます。

分散機の種類や特徴だけでなく、分散のポイントや注意点についても学べます。

また、粒子径に合った分散度の評価方法が分かります。

さらなる顔料分散性の向上

分散剤やカップリング剤の種類や特徴について学べます。

図・構造式・実例が多く、非常に分かりやすい内容になっています。

ポリマー微粒子について

ポリマー微粒子の種類・特徴・重合法について学べます。

全体像を知るのに適しています。

微粒子分散体の流動性

粘度について詳しく学べます。

粘度とは何かという話から始まり、粘度計の種類や特徴、流動パターン、粒子形状と粘度の関係、様々な実用系における粘度挙動について体系的に学べます。

顔料充填ポリマーの物性

顔料充填ポリマーの力学的性質や粘弾性などについて学べます。

ほとんどの分散液は、「乾燥状態・塗工物」≒「顔料充填ポリマー」として使うため、本章の挙動も知っておくべきでしょう。

臨界顔料体積濃度(CPVC)の考え方や、顔料濃度と各種性質の関係も分かり、顔料濃度を検討する際に参考になります。

活躍する顔料分散技術

顔料分散の具体例が紹介されています。

塗料・インキ・トナー・文具・化粧品など数々の具体例について学べます。

粒子分散の基礎知識を学ぶのに適した本です。

上で紹介した「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」と一緒に読むことで、 お互いの内容が補完し合って、理解度もぐっと深まります。

分散初心者には、特に2・3・4・6章の熟読をお勧めします。

分散実践編: 「きちんと知りたい粒子分散液の作り方・使い方」小林敏勝

Q&A形式で、粒子分散の基礎や、課題に対する具体的な解決策を学べます。

「今ある課題を早く解決したい方」「化学以外の分野出身で、分散液を使うだけの方」にもおすすめです。

上で紹介した「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」と一緒に読むことで、理解度が深まります。

書籍としての特徴と概要は下記です。

  • Q&A形式で、自分の疑問点や課題に関するヒントを短時間で得られる
  • Q&A形式で図も多いため、化学以外の分野出身の方にも比較的分かりやすい
  • 分散方法だけでなく、分散液の使い方についても学べる
粒子分散液を作る

粒子分散とは何かという質問から始まり、分散の必要性や、一次粒子や粉砕について、分散時の注意点や過分散など、分散を始める前や始めた直後にぶつかる疑問点を解消できます。

この「粒子分散とは」という細かい章だけでも、13のQ&Aがあり、多くの知識を得られます。それでいて、Q&A形式のため、読み易いという特徴があります。

その後、「分散過程」「水系での分散」「有機溶剤系での分散」「溶解性パラメーターと表面張力」「分散剤」「分散機」「分散状態の評価」に関するQ&Aが、それぞれ6~14繰り広げられます。

第1章のQ&Aは合計で72個もあり、自身の疑問点や課題をピンポイントで解決できる可能性は高いかと思います。

気になるQ&Aを中心に見るのも良いですし、最初から読み進めることで分散の基礎が身に付く内容にもなっています。

粒子分散液を使う

粒子分散液を作りはしないが、購入して使うという方にもおすすめの内容です。

分散液をあまり触ったことがない方や、分散の基礎知識がない方でも、このQ&Aを読めば課題を解決できる可能性があります。

それほど易しい文章で書かれていますし、具体的な解決策が書かれています。

もちろん、分散液を自分で作っている方や分散中上級者にもおすすめで、学びになる部分は多いかと思います。

例えば、分散液の増粘・ゲル化・沈降などの原因と解決策について学べます。

また、分散液と何かを混ぜる際や、塗工する際に起こる問題に対して、解決策が分かります。

粒子分散液に関する課題を解決するのに最も適した本だと思います。

Q&Aという形式や内容は、多くの方に分かりやすいように書かれていると感じます。

「今ある課題を早く解決したい方」にはこの本を特におすすめします。

分散について基礎からしっかりと学びたい方には、先に紹介した 「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」と 「図解入門よくわかる顔料分散」読んでから、この本を読むと理解度が深まります。

素材編:「色と顔料の世界」 橋本和明監修 顔料技術協会編

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素材である顔料 についての本です。

各素材の特徴を知れば、素材を選定する際に役立ちますし、適した分散方法が見えてきます。

顔料とは、着色に使われる粉末の中で、溶剤に不溶の物を指します。

つまり、溶解液ではなく、分散液として使うため「分散」が重要な素材です。

顔料は、色物だけでなく、カーボンのような黒い粉末や、シリカのような白い粉末、金属粉なども含みますので、顔料分散は粒子分散の大部分を占めると言っても過言ではありません。

書籍としての特徴と概要は下記です。

  • フルカラーで図解や写真が多いため、見やすく読み進めやすい
  • 色や素材の基礎知識や特徴が学べる
  • 分散についても要点だけを簡単に学べる
色の科学入門

色の見える理由、色の数値化について学べます。

顔料の色

色材の全体像や、顔料の発色機構について学べます。

顔料はどのようにして使われている?

印刷インキ・塗料・着色剤などを例に具体的な使われ方や製造工程について学べます。

粒子径と光学的性質(光沢や隠ぺい力)の関係を簡単に学べます。

顔料はどのように作られる?

下記の各顔料について、特徴や製造工程などを学べます。

フタロシアニン系・縮合多環系・縮合アゾ・不溶性アゾ・溶性アゾ・染付けレーキ・

二酸化チタン・カーボンブラック・アニリンブラック

「鉄黒・黄色酸化鉄・べんがら」・「紺青・群青・酸化クロム」・複合酸化物系

体質顔料(炭酸カルシウム・シリカ・クレー系)・金属粉・(パール系光沢顔料)

それぞれ、4~10ページ程度で分かりやすくまとめられており、自身がお使いの顔料についての理解を深めると共に、顔料の全体像を掴めます。

顔料に求められる性能と機能

分散の基礎や評価方法について学べます。

分散の要点を、図や写真付きで分かりやすく、短時間で学べます。(要点は約15ページ)

顔料の物性と分散性の関係や、粒子径と各パラメーターの関係性も分かります。

この本は技術者のみならず、営業などの文系職の方にもおすすめです。

色を扱う方や、顔料やフィラーメーカーの方には特におすすめの内容になっており、

分散液を扱う方全般や、インキ・塗料・化粧品メーカーの方、印刷や塗装関連の方にも見ていただきたい内容です。

まとめ

分散について基礎から学びたい方には、「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」 と 「図解入門よくわかる顔料分散」 の2冊がおすすめです。

2冊とも読むことで、お互いの内容が補完し合って、得られる知識の幅が広がり、理解度がぐっと深まります。

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実践で役立つ知識をさらにつけたい方や、今ある課題を早く解決したい方には、「きちんと知りたい粒子分散液の作り方・使い方」 がおすすめです。

非常に分かりやすく、化学以外の分野出身の方や、分散液を使うだけの方にもおすすめです。

顔料や色についても詳しく学びたい方には、 「色と顔料の世界」 が おすすめ です。

理系のみならず文系の方にも分かりやすい内容になっています。

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